[学園編]
重厚な扉の中は広く薄暗い。
それでもそれなりに近くにいる者の容姿くらいははっきりと見える。
スーツに身を包んだ男が多い中、ラフな格好をした自分はかなり目立ってしまっていた。
フロアを歩く俺に気付き驚いたり呆気にとられる者が多い。
街中だろうがデパートだろうが、同じ反応だから今更驚くことじゃなかった。
男A「あの…、君。お客さんはもう決まってしまってるかい?」
葵「店の人じゃないんで」
にっこり微笑んで言ってやったが却って逆効果だったようだ。
男の目がぎらぎらと本気モードになってしまっている。
男A「ならなおいいよ。どうかな、僕と…」
男B「おい、ちょっと待ってくれ。俺はお前の連れだろうが。誘うなら俺も混ぜろよ」
男C「君たちこんな愛らしい子を捕まえてみっともない」
愛らしいとはまた不似合いな言葉だ。
何処を見て言っているんだろうか。
なんだなんだと人がこちらに集まってきてしまっている。
ボーイを放って来てしまう客までいてフロアにいたボーイ達の視線が痛い。
(こいつらがっつきすぎだろ)
既に何人か声をかけているのがいると自分もと参戦しやすいのだろうか。
さりげなく体までさわってきているのまでいて作り笑いが崩れてきそうだ。 |